フランス料理の旨味の世界、フォンを追求した
「香るフランス料理」への想い
私はフランス料理の基本の調理技術に敬意を払いそれらの技術を駆使しながら、昔から日本人が味覚で大切にしてきた「旨味」を兼ね備えた「余韻を残す香る一皿」を常に作り上げたいと考えてきました。
その上でフランス料理のフォンという様々な肉や魚の骨と野菜を合わせて作る出汁、は欠かすことの出来ない存在であります。フランス帰国時から長年追求しながら見つけた、「水質の違い」に解決策を見出し、長い時をかけて「日本の水で作る新しいフォン」を作り出すことが出来ました。
今では10種類近くのフォンを作り、数種のフォンを合わせることにより、旨味の相乗効果が生み出され、願っていた「余韻を残す香る一皿」を作り出す糸口を掴むこともできるようになりました。
またこの日本の水で作るフォンはオリジナルのソースや一皿を構成する上で大切なものと考え、次世代に伝承したいと願う技術でもあります。
季節折々の食材と幾重ものフォンを重ねたソースとのマリージュを通じて「五味」と「五香」を表現し、さらには本来日本人が持っているはずの食材を全て無駄無く使い切る心や自然に寄り添いながら生きて来た日本人の精神を、料理を通じて表現し、フランス料理人として次世代に繋げたいと願っています。
トレフミヤモト
シェフ 宮本 雅彦
プロフィール
福岡県生まれ。1988年渡仏。フランスでは星付きレストランで主要ポジションを歴任。三ツ星「ジョルジュ・ブラン」では当時アジア人初めてのソーシエ(ソースのシェフ)を務める。その後帰国し中央区勝どきの「クラブニュクス」の料理長を経て、1996年西麻布に「クリニャンクール」をオープン。2000年に店名を新に「トレフミヤモト」をオープン。現在は後進の育成と次世代との交流を大切にしている。